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こんにちは。TASKEL sapporo-タスケル札幌院長の加我です。
今回は鍼灸治療の効果について触れてみたいと思います。

鍼灸治療の歴史は古代中国から行われてきた東洋医学であり、東洋医学の独自の理論で行われていました。それが日本に入って来て「日本鍼灸」としてさらに独自なものとして派生していきました。
江戸時代くらいまでは鍼灸治療は盛んに行われて来ましたが、明治時代以降は西洋医学が主体となり鍼灸治療は徐々に衰退していきました。
それからは鍼灸治療も西洋医学的な考えで行われるものが増え、従来の東洋医学的な鍼灸治療はさらに衰退しました。
しかし、そのおかげもあり東洋医学的にしか説明できなかった鍼灸治療の効果も西洋医学的に説明できるようになって来ました。
では、その効果とはなんなのか?主に以下の4点です。

・鎮痛作用
・抗炎症作用
・血流増加
・調整作用

となっております。一つ一つ読み解いてみましょうね。

■鎮痛作用

鍼灸治療を受ける患者さんは圧倒的に痛み系が多いです。しかしながら鍼灸師でもなぜ鍼灸をすると痛みが和らぐのか説明できない人も多いと思います。
質問です。痛みはどこで感じると思いますか?


正解は「脳」です。
人間の体は痛みを感じると脳内物質を放出したり勝手に鎮痛をしてくれる様々な機能が備わっています。痛いところがあると手でさすったりおさえたくなるのも本能的な行動ですがこの行動も鎮痛作用を引き出すものと考えられます。
組織が損傷した場合、損傷した細胞から「ヒスタミン」や「ブラジキニン」という物質が放出され炎症が起きます。それらが末梢の受容器に受け取られさらに様々な物質が放出され「信号」となります。その信号が脊髄を上りさらに化学物質を放出させそれを脳が受け取り「痛み」として感じます。病院で行くともらえる「NSAIDs ロキソニンなど」などの痛み止めは末梢の受容器が発痛物質を受け取った際に放出される物質のサイクルを遮断し、鎮痛させています。さらに「モルヒネ」など強い薬になると脳自体で痛み信号の感受性を低下させ痛みを和らげるものもあります。
話がそれました。

つまり
鍼灸治療は人間に備わっている鎮痛機構を引き出すと考えられます。

・痛み=炎症や筋緊張、骨盤の歪みとは限らない??

痛みがあると痛いところに問題があると考えがちです。急性痛のものだったらその場合が多いです。しかし慢性痛(3か月以上)になると少し違ってきます。
慢性痛の定義はこうです。「組織損傷が実際に起こった時、あるいは起こりそうな時に付随する不快な感覚および情動体験、あるいはそれに似た不快な感覚および情動体験」となっています。少し難しいですね、加我簡単翻訳によると
「組織損傷していない時にも痛みは感じるし、自分の精神状況や思考も痛みは関係してるよ。つまり脳が勝手に痛みを作ってるよ」と言うことです。
ということは組織に損傷がない痛みの場合はどれだけ痛いところに何かしようが、NSAIDsのような痛み止めなどは効きづらいと言うことですね。あ、でもそのおかげで精神的に落ち着いたり、安定したらもしかしたら痛みが和らぐかも。ということですね〜、人間って面白いですね。
ということは巷でよく言われる「筋肉が硬い」や「骨盤の歪み」などと断定するのも困難というわけですね。
こういうパターンは東洋医学は本当に優れているなと感じています。東洋医学は感情やその人取り巻くもの全てを観察材料として施術を行なっていきます。

■抗炎症作用

人間の体はあらゆるところで炎症が起こりえます。筋肉、神経、靱帯、骨、血管、内臓などです
人間の体は「破壊と創造」で成り立っています。何か厨二病的な感じがしてきましたね。

・人体は上下関係がやばい超完璧な会社!?


組織に問題があると炎症が起きます。そうすると白血球の出番がやってきます。問題のある組織は免疫のボスである「樹状細胞」から異常なものと判断されボスの指示により「マクロファージ」たちが問題のある組織を食べにきます。そうなると問題のある組織食べられなくなり次に「修復性マクロファージ」が患部の修復を始めます。そして健康な組織としてまた活動を始めるわけです。
つまり「破壊と創造」カッケェですね。今回は簡易的な説明ですが免疫系はもっと複雑に作用し無駄な要素など一切なく人体では情報の伝達が行われ的確に仕事を行います。
僕たちが普通に生活していて簡単に病気にならないのも異常な細胞があればすぐ食べてくれるおかげ、風邪をひいても勝手に治るのも白血球が菌やウィルスを食べてくれるおかげということです。
いやー人間の体って素晴らしいですね。ここら辺は見て行けば見ていくほど「人体の上下関係」にはびっくりさせられます。「何も粗がない、完璧な会社」という感じです。僕はゆとり世代なのでこの企業では働くことはできなさそうです。
話がそれました。
鍼灸は鍼は体に鍼を刺し、灸は微細な火傷させます。どれも組織に微細な損傷を与えて刺激していることになります。組織に損傷が起こると。。。はい、そうです

「白血球」たちが体の中で増えるわけです。それを利用して抗炎症効果を引き出しています。


鍼灸治療は内臓疾患にも行われますが、この作用を利用して内臓疾患も治療できるということですね。

■血流増加

これは鎮痛作用と抗炎症作用とセットのようなものです。
人体で物質をやりとりをするときは血液を利用します。血液の流れに乗って白血球たちは移動しています。
なので鎮痛作用、抗炎症作用を引き出す際は血流が増加し効率をUPするんですね。
血流増加の恩恵は全体で得られるので、「主訴とは違うとこも楽になった」とかもこれが影響してるかもしれませんし、手足の冷えなども対応することができます。
お灸になると熱刺激も加わるので、血管が拡張して血流増加するというのもありますね。

■調整作用

何を調整するの、、、?答えは「自律神経」です。
最近流行りですよね。「自律神経が乱れてる」という言葉も耳にしたこともあると思います。
自立神経は「交感神経」と「副交感神経」に分かれます。交感神経が体が戦闘体制、副交感神経が体がリラックスしている状態です。
内臓機能や血管は自律神経によって調節されています。

・甘やかしすぎも、厳しくしすぎもよくない


俗にいう「ストレス」を感じると人体は交感神経優位となってしまいます。その状態が続くと副交感神経との切り替わりが上手くいかず常に戦闘モードのように「不眠」など不調として人体に現れるようです。
これは逆でも同じです、副交感神経優位になり交感神経との切り替わりが上手くいかない状態が続くと体がリラックスしすぎている状態で「無気力」なども起こり得ます。なので交感神経も副交感神経も常にバランスが取れている状態でないとだめなのです。


鍼灸ではこの交感神経と副交感神経のONとOFFを利用して効果を発揮させます。

東洋医学では「補う」「瀉す」という言葉があります。不足しているものは補い、過剰なものは落とそうという意味です。上がりすぎても下がりすぎてもダメ。そうです「バランス」です。
ここからは僕の持論ですが
鍼には「得気」といっていわゆる「ズーン」とか「響き」というものがあり、この際は刺激があるのでどっちかというと交感神経が刺激されるのだと思われます。鍼では「置鍼」といって鍼を刺したまま30分〜60分置くという技術があります。この時に結構眠ってしまう方が多いのでこの時には副交感神経も刺激されてると思っています。ONとOFF、愛と鞭ですね。

以上が鍼灸治療の主な効果でした。
結局はどの機能を引き出す際も大きく関わってくるのが「脳」です。
なので、僕が患者さんに説明する際は「鍼灸は脳で効いてます」と説明しています。
とは言っても現代医学でも脳や体のことを100%わかっているわけではないと思うので、西洋医学では科学的に人体のことを解明されることを期待したいですね。そうするとより鍼灸治療の効果もより詳しく解明される時が来るかもしれません。



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